『忘却のそばで待ってる』 #山姥切長義夢#未完#夢小説私の山姥切長義の解釈が変わってしまったことから、途中で提出します!すみません! 彼女と出会ったのは偶然だった。 山姥切長義は政府所属の刀剣男士として、現世の施設で働いていた。 ある時とある本丸が通信を断ったとのことで長義が現地調査に赴いたところ、本丸はひどい有様だった。現世と本丸を繋ぐ城門は破壊され、家屋や畑は踏み荒らされ、破壊の限りを尽くされていた。時間遡行軍による襲撃を受けたのだ。不幸なことにその本丸の審神者は襲撃によって死亡していたため、長義は遺骸を回収し政府施設に帰還した。「あなた、あなたぁあ!」 政府の施設で審神者の遺骸を収容していると、妙齢の女性が取り乱した様子で現れた。そして刀傷でずたずたになった遺体を前にして、わっと泣き崩れ取りすがった。「彼女は?」 長義は近くに控えていた役人に問うと、「彼の奥方様です」 と悲痛な面持ちで役人は答えた。 身も世もなく号泣する女の声を聞きながら、長義は報告書を作成するためにその場を辞した。 襲撃で命を落とした審神者の葬儀は、政府主催で行われた。 その式に長義も参列していた。普段着慣れない黒のスーツは、政府から頂戴したものだ。長義の他にも刀剣男士達が多数参列していた。後の調査で分かったことだが、本丸の四部隊が全て出払ったタイミングで、時間遡行軍は奇襲をかけていたらしく、主力部隊は主君を守ることすらできずに帰還したらしい。それも城門が破壊されていたため、本丸の惨状を知るのに大分時間がかかったという。 遺族の席に、審神者の奥方がいた。 目元は赤いものの凛として前を向いている。どうやら夫である審神者の遺影を見つめているようだった。 焼香をする参列者達に頭を下げて礼を言うその姿は、気丈だった。 黒い喪服姿の彼女のうなじは、まるで白く照らされているようで、長義の目にはなまめかしく映った。 審神者の遺体は火葬され、お骨をひとかけらも残すことなく収骨された。 故人を偲ぶ会が行われている中、審神者の刀剣男士達を長義は呼び集めていた。 皆が目元を赤くさせ、意気消沈している中、長義は口火を切った。「お前達の審神者は死去した。本丸も存続不可能なほどの壊滅的な打撃を受けている。よってお前達は本霊へ還るか、政府所有の刀になるかを選択する必要がある」 そんな長義に祢々切丸が手を挙げた。「それはつまり我らの本丸を取り潰すということか?」「穏やかではありませんね」 隣にいた太郎太刀も同調する。長義の言葉にざわめきが広がっていく。 当然だ。彼らは自分達の主の仇を討つことも許されず、政府の犬になるか死ねと言われているも同然なのだから。長義は政府所属の刀剣男士として、こういった場面に何度も直面してきた。そう、何度も。 2024.12.23(Mon) 02:54:29
私の山姥切長義の解釈が変わってしまったことから、途中で提出します!すみません!
彼女と出会ったのは偶然だった。
山姥切長義は政府所属の刀剣男士として、現世の施設で働いていた。
ある時とある本丸が通信を断ったとのことで長義が現地調査に赴いたところ、本丸はひどい有様だった。現世と本丸を繋ぐ城門は破壊され、家屋や畑は踏み荒らされ、破壊の限りを尽くされていた。時間遡行軍による襲撃を受けたのだ。不幸なことにその本丸の審神者は襲撃によって死亡していたため、長義は遺骸を回収し政府施設に帰還した。
「あなた、あなたぁあ!」
政府の施設で審神者の遺骸を収容していると、妙齢の女性が取り乱した様子で現れた。そして刀傷でずたずたになった遺体を前にして、わっと泣き崩れ取りすがった。
「彼女は?」
長義は近くに控えていた役人に問うと、
「彼の奥方様です」
と悲痛な面持ちで役人は答えた。
身も世もなく号泣する女の声を聞きながら、長義は報告書を作成するためにその場を辞した。
襲撃で命を落とした審神者の葬儀は、政府主催で行われた。
その式に長義も参列していた。普段着慣れない黒のスーツは、政府から頂戴したものだ。長義の他にも刀剣男士達が多数参列していた。後の調査で分かったことだが、本丸の四部隊が全て出払ったタイミングで、時間遡行軍は奇襲をかけていたらしく、主力部隊は主君を守ることすらできずに帰還したらしい。それも城門が破壊されていたため、本丸の惨状を知るのに大分時間がかかったという。
遺族の席に、審神者の奥方がいた。
目元は赤いものの凛として前を向いている。どうやら夫である審神者の遺影を見つめているようだった。
焼香をする参列者達に頭を下げて礼を言うその姿は、気丈だった。
黒い喪服姿の彼女のうなじは、まるで白く照らされているようで、長義の目にはなまめかしく映った。
審神者の遺体は火葬され、お骨をひとかけらも残すことなく収骨された。
故人を偲ぶ会が行われている中、審神者の刀剣男士達を長義は呼び集めていた。
皆が目元を赤くさせ、意気消沈している中、長義は口火を切った。
「お前達の審神者は死去した。本丸も存続不可能なほどの壊滅的な打撃を受けている。よってお前達は本霊へ還るか、政府所有の刀になるかを選択する必要がある」
そんな長義に祢々切丸が手を挙げた。
「それはつまり我らの本丸を取り潰すということか?」
「穏やかではありませんね」
隣にいた太郎太刀も同調する。長義の言葉にざわめきが広がっていく。
当然だ。彼らは自分達の主の仇を討つことも許されず、政府の犬になるか死ねと言われているも同然なのだから。長義は政府所属の刀剣男士として、こういった場面に何度も直面してきた。そう、何度も。