私の決意はつきました

「はぁ……」

ハチ公の傍で、私はようやく息をつく。
長年補助部隊の仕事をしている私だが、ここまでイマジネーションを駆使したのは、初めてだ。
あの雨の日北虹さんと話してから、戦闘向きではない私でも戦闘部隊への移籍を目指すため、手始めに戦闘部隊向きのイマジネーションの練習をしているのだが……。

今の私は幽霊みたいなもの。どうせ体がぶつからないのなら、RGから見えないのなら構いはしない。
ああ、そんなことより、疲れた……。
「ノイズの召喚がこんなに大変だったなんて」
アスファルトの道路にへたりこんだ私の横で、緑色のカエル型ノイズが、げこっと鳴いた。




1週間前、私は北虹さんに告白に失敗し、見事に散った。
北虹さんは私に最後まで告白させず、言葉を濁して背を向けた。
北虹さんの力になりたいと言った私に、
『補助部隊の死神が幹部になるのは、戦闘部隊の者以上に厳しい道のりだ。それでも困難に立ち向かう覚悟があるなら、挑戦してみたまえ』
なんて、残酷な言葉を残して。

調べてみたところ、ここ十数年渋谷UGで幹部に昇進する死神は、ほとんど、いや全て戦闘部隊出身の者だけだった。
もちろん虚西さんも、戦闘部隊の出身だった。
十年さかのぼっても、補助部隊から幹部に上り詰めた前例はなかった。
これは想像以上に前途多難な道のりだ。

でも補助部隊から幹部になるのが難しいなら、まずは戦闘部隊に移籍することを目標にすればいい。
そして、戦闘部隊でスキルアップしていって、幹部に上り詰めればいいだけの話だ。
補助部隊から戦闘部隊へ移籍するケース自体が希少だが、いきなり幹部を目指すよりは現実的だろう。

とはいえ、恥ずかしながら私は戦闘部隊の経験がないため、戦闘部隊の仕事はおぼろげにしか知らない。
なので、戦闘部隊の人に話を聞くことにした。
偶然見かけた同僚を捕まえて話を聞くつもりだったが、運良く戦闘部隊でも優秀と言われる、八代卯月と狩谷拘輝のコンビに出くわしたのだった。
「あたしらの仕事の基本って言ったら、やっぱりノイズを参加者にけしかけることよね」
「そうダナ。まずはノイズを精製するところから始めたらどうダ?」

二人は、何匹かノイズを作り出してみせた。
緑色のカエル型ノイズや灰色の狼型のノイズなど、どれもノイズの中ではそれほど強くない個体だ。
これならできるでしょ? といった表情の二人だったが……。
「えっと、ノイズってどうやって作るんですか?」
二人は面食らった表情で、私を見つめ返した。


「あんた死神何年やってんのよ! 何でノイズの作り方も知らないわけ!? マジありえないんだけど」
「そういえば佐倉サンは、補助部隊出身だったカ?」
「……って、補助部隊だって精製したノイズを倒すクエストだって出してるわよね。佐倉だってそれくらいできて当然なんじゃない?」
「実は私、死神になった時にノイズをうまく精製できなくて、クイズや探し物クエスト専門でやってきたんです。だから、ノイズを作れたことが未だになくって」
「へぇ、補助部隊はノイズを使わなくても、何とかなるのね。意外だわ」
「すいません……」
「俺らだって補助部隊の仕事に詳しくないんだから、マ、お互い様ってコトデ。それにしても、ノイズを精製しなくても今まで死神を続けられるなんて、大したものダナ」
「だったらやっぱりまずはノイズを精製しましょうか。補助部隊でも役に立つんだし」
「アイヨー」

そして二人はもう一度ノイズの精製方法をわかりやすく披露してくれた。
どうも核バッジという特殊なバッジで、ソウルを集めてノイズにするらしいのだが、その過程からしてよくわからない。

しきりに首をかしげ、ノイズの精製方法を理解しようとする私に、八代さんが不思議そうな顔をする。
「そう難しく考えることでもないでしょ、こんなの。私は参加者の採点とか、そういう細かい仕事のほうがダメだわ」
「ところで佐倉サン、核バッジは持ってるカ?」
「あ」

そもそも早い段階でノイズを使った戦法を諦めてしまった私だ。
多分、家中を探せば見つかるだろうけれど、今は手元にない。
これでは二人に時間を無駄に消費させてしまったようなものではないか。

私の様子から事情を察したらしい狩谷さんが、たった今使っていたバッジを、そっと私に手渡そうとする。
「アー、じゃあ余っているのでよければ、差し上げマショ」
「あたしのもあげるわ。予備はあるし」
核バッジを差し出す二人に、後光が差しているような気さえする。本当に優しい人たちだ。

恐縮してぺこぺこ頭を下げる私に、二人はひらひら手を振って大したことじゃないと言ってくれた。
そして、もしうまくいかないことがあったら、いつでも相談に乗るとも。
「あたしも同僚が増えるのは嬉しいし、いつでもこっちに来なさいよ」
「応援してるゾー」

二人が行ってしまった後、私は黙々とノイズの精製を練習することにした。
「っと、その前に……」

腕時計で時間を確認しておく。
ノイズを精製するまでに、どれくらいの時間がかかるかを測りながら練習した方がはかどると、八代さんが教えてくれたのだ。
最初のうちは時間がかかるけれど、少しずつ時間を短縮していけばいいのだそうだ。

まずは意識を集中し、自分の召喚したいノイズをイメージする。
ノイズと聞いて、真っ先にイメージするのは、例のカエル型のノイズだ。

そうしてソウルを散らすこと数回、なんとか精製できたのが、このカエル型のノイズだ。
正式名称は『ディキシーフログ』。

初歩的なノイズを召喚するのに、30分近くかかってしまった。
こんなことでは、戦闘部隊の死神なんて……。

げこっ。
 

間近でカエルの喉がなる音。
見ると、先程召喚したノイズが鼻先で私の足先をちょんとつついている。

もしかして、私を励まそうとしているのだろうか。
ノイズなのに?
「ふふっ」

参加者だった時、散々煮え湯を飲まされてきたノイズを、可愛いと思う日が来るなんて、思いもしなかった。
カエル自体があまり好きではないけれど、『この子』は少しだけ、本当にホンの少し可愛いと思う。
人差し指でディキシーの鼻先をちょんとつつくと、げこっげこっと続けざまに喉を鳴らして、ぴょこんと飛び跳ねた。
何だか嬉しそうにさえ見える。
「ノイズにも感情がある……のかな?」

しばらくディキシーと戯れていた私の背後に、二人が声をかけてきた。
先程の狩谷、八代コンビだ。
「驚いた。まさかもうノイズを精製できるようになるなんて」
「意外とやるネ」
「さっきはありが……」
「あんた、何ノイズなんかと遊んでんの?」
「え?」

私が二人にさっきの礼を言おうとするのを、八代さんの不機嫌そうな声がかぶさる。
私の言葉を遮ってしまったことで、少しバツの悪そうな顔をしたものの、きつい語調は変わらず、続けた。
「ノイズなんて、参加者を消すためのただの道具よ。下手に情を移すなんてもってのほかだから」
「噂によると、ノイズ自体に感情なんてモンは備わってないみたいだし、割り切るのもいいかもネ……」

忌々しげにディキシーフログを見下ろす八代さんの背後で、狩谷さんがこっそりフォローしてくれる。
「ノイズには感情がないってことですか?」
「そうよ。そいつがあんたになついているように見えるのは、ソウルがほしいから媚を売ってるだけよ」
「卯月〜、コワイ顔してると、シワが消えなくなっちゃうゾ」

冷たくノイズをなじる八代さんを、狩谷さんがなだめる。
「だって本当のことじゃない」
「そうかもナ。卯月の考えはわかったサ。でも、佐倉さんも同じとは限らないダロ?」

ぐっと八代さんが黙り込む。
「佐倉さん、気を悪くしないでくれヨ。卯月が言ったことは本当ダヨ。ノイズは感情を持たナイ。それに情を持ってしまうと、後々別れが辛くなるヨ〜。俺ら死神はノイズをけしかけて、戦うんだからサ」
「そっか。今仮になついても、いずれは消滅することに……」
「ペットとしてノイズを飼っていたやつもいたナ。あ、でもソウルを与えすぎるとノイズが増えるから、注意ナ」

アー……と狩谷さんが、片目をつぶって声をひそめる。
「言い方はきついけど、卯月なりに佐倉さんのことを心配してるんサ。卯月も死神になりたての頃、初めて精製できたノイズを可愛がっていたら、参加者に消されてショックを受けたことがアッテ……」
「狩谷、何勝手にぺらぺら喋ってんのよ!」
「おっと、バレてター」

まったくあんたは……と小言を続ける八代さんが、文句を言い終わってからこちらを振り返る。
「あたしも相当ノイズの精製には手こずったのに、佐倉は一人でちゃっちゃと精製できちゃう辺り、案外戦闘部隊も向いてるんじゃない?」
「そうダナ。補助部隊でもベテランみたいだし、案外うまくいきそうダナ」
なんだかんだと私を褒めてくれるふたりに、そんなことは……と適当にお茶を濁す。

休憩がてら、お茶でもしようと二人は誘ってくれたが、もう少し他のノイズの精製を練習したいので、私が戦闘部隊に所属できた暁にはぜひと断った。



実際、戦闘部隊に移籍するにはまだまだ実力が足りないし、核バッジはもらったけれど、銃の扱いにも慣れていない。
それに、なんだか二人を騙しているようで、後ろめたかったのだ。
せっかく熱心にアドバイスしてくれる二人には申し訳ないが、私の目的は戦闘部隊に入ることではないのだから。



今度は別のノイズを精製するために、核バッジを構え直した。

一週間前のあの日、北虹さんの言葉を思い出す。
『俺は決して補助部隊を軽んじているつもりはない。君は自分の仕事にもっと誇りを持つことだ』

そう言って、あの時北虹さんは私の告白を拒んだ。
死神総会議からの帰り道、雨が降っているのに傘を持たない私のために、北虹さんのご好意で傘に入れてもらったあの日のことだ。

最初は緊張しすぎるあまり、ほとんど話せなかったが、北虹さんと話していくうちに、目標ができてしまったのだ。
新しい目標を手に入れた私が高揚した気持ちに任せて、長年の気持ちを伝えようとしたら、北虹さんは気付いたらしい。

まだ好きのすの字も口にしないうちに、北虹さんは早々に私の元から去ってしまった。
差しかけてくれた傘がなくなり、私は小雨に肩を濡らした。

足早に去っていく北虹さんの背中を見つめながら、どうして北虹さんが早急に会話を打ち切ってしまったのかを考えた。
色恋沙汰が苦手だから、面倒な事態を招きそうだから、私が嫌いだから、急ぎの用があったから……。
色んな理由が浮かんでは消えた。

いくら北虹さんの気持ちを推し量ったところで、北虹さん本人の気持ちにたどり着けないことをようやく理解した私は、カドイに入って化粧室で湿った髪と体を拭き、少し泣いてから傘を買って帰宅した。

北虹さんの態度にショックを受けた私は、悲しいとか悔しいとか恥ずかしいとか、いくつもの感情がごちゃごちゃに渦巻いていて、周りにあふれるもの全てが遠くに感じた。

そんな私の目を引いたのは、水色の傘だった。
鮮やかなスカイブルーに惹かれてそっと開けてみた傘は、桜吹雪の模様が描いてあった。
晴れ渡った空の元、桜の花びらがちらほらと舞っているというモチーフの傘らしい。
少し季節外れな桜の傘を、私は迷うことなくれじカウンターに持っていった。

あの傘のように、私は告白することさえ許されず、サクラ散ッテしまったけれど、諦めるつもりは毛頭ない。
もしちゃんと告白した上で強烈に拒絶されたら、二度と立ち直れなかっただろうけど、北虹さんは私に最後まで言わせぬまま拒否を行動で示した。
ちゃんと告白できなかったから、今度こそ振り向かせてみせると思えたのかもしれない。


「あっ」

苦戦していくうちに、核バッジが手から転がり落ちる。
せっかく集めたソウルもすぐに拡散してしまった。

地面に屈んで、バッジを拾おうとした時、北虹さんの言葉がリフレインする。
『それから、佐倉。先程も言った通り補助部隊の死神が幹部になるのは、戦闘部隊の者以上に厳しい道のりだ。それでも困難に立ち向かう覚悟があるなら、挑戦してみたまえ』
「簡単そうに言っちゃって」

苦笑しながらバッジを拾い、私は立ち上がる。
十数年も前例のないことを、平々凡々な補助部隊死神の私にやってみろと北虹さんは言ったのだ。
いや、むしろどうせ私に何もできはしない、という皮肉がこめられていたのだろう。

「私が戦闘部隊に入ったら、北虹さんはどんな顔をするのかしらね」

突然の配属変更──それも補助部隊から戦闘部隊への配属替えは滅多にない──に驚くだろうか。
不快そうに眉と言わず顔全体を歪めるだろうか。
深い溜息を吐くだろうか。
私の存在自体を黙殺するだろうか。

それよりも、私の存在を本当に忘れ去られている方が、辛い。
相合傘の時に私の名前を覚えていたのだから、さすがに記憶から抹消されていることはないだろうけれど。





数日後。
補助部隊のギルドに足を踏み入れる。
ギルドと言っても、渋谷川の傍に立つ古びた雑居ビルの一室だ。

しかし、カードキーとパスワードを使わなければ、入室することはできない。
参加者や死神のプライバシーに関わる重要な資料が、ここに収められているからだ。

個人のカードキーを機械に通してから、八桁のパスワードを入力する。
少しこもった匂いが鼻につく。
『整理整頓』と几帳面な文字で書かれた張り紙の通り、どのデスクもきっちり書類はファイリングされ、備品はあるべき場所に収まっている。

私が新米ほやほやだった頃『俺達のギルドに招待しよう』と誘われた先が、ただの事務所のような場所だったことにひどく落胆したことを思い出した。
何故私は4年も前のことを思い出して、感傷に浸っているんだろう。
ただ必要書類を取りに来ただけなのに。

書類の入った引き出しに手をかけると、指先に埃がうっすらついた。
そういえば、この棚はあまり掃除をしていなかったっけと思いながら、書類を引っ張り出す。

「よう、佐倉」

背後からふいに声をかけられた。見知った同僚だった。
「おはよ、テンホー。仕事?」
「ああ、せっかくの休みなのに、やりかけの仕事が残っててな」

今日もテンホーは深々とパーカーをかぶっている。
そういえば、新米の私を『俺達のギルドに招待しよう』と誘ってくれたのは、テンホーだったはずだ。

「噂は本当だったんだな」
「噂?」
「戦闘部隊に行きたがってるヤツがいるって噂」

テンホーが私の手にある書類を、パーカーのポケットに突っ込んだままの手でちょんとつつく。
転属願の書類だった。
「まさかお前があっちに行く日が来るなんてな」
「そうは言っても、まだ配属変更の書類を取りに来ただけよ」
「転属の時期じゃないから、もしかしたら待たされるかもしれないな」
「そうだね。でも私が戦闘部隊に行きたがっていることをアピールできれば、それでいいんだ」
「ん? 佐倉は本当に戦闘部隊へ異動したいわけじゃないのか?」
「行きたいよ。ただ、一度届けを出したくらいじゃ受理されないかもしれないから、何度もアピールすることが重要じゃない?」
「じゃあ明日明後日に、佐倉が向こうに移るってことはないわけか」
「そういうこと。明日からも補助部隊の佐倉ユウをよろしくね」

おどけて敬礼してみせると、テンホーはクスクス笑った。
「おう、よろしくな。佐倉」

テンホーと軽口を叩いてから、ギルドを出る。
それにしても、いくら補助部隊から戦闘部隊への異動志願者が少ないとは言え、書類の日焼けがひどい。
もう少し気を配らないと……と、ぼんやりしながら歩いていたら、前方から歩いてくる人に気付けなかった。

私の肘がすれ違いざま、男性にぶつかる。

「あっ、ごめんなさい」
「失礼。……佐倉か」 

ヘビ柄の胸元の開いたスーツと真っ赤なヘッドフォンが目に入ったとき、ようやく私は誰と出くわしたのか気付いた。
「し、失礼いたしました。申し訳ございません。北虹様、お怪我はございませんか?」

慌てて私は平身低頭する。よりにもよってぶつかった相手は、ゲームの指揮者北虹寵、その人だった。
「ああ俺は大丈夫だ。佐倉の方こそ、大丈夫だったか? ……それは」

北虹さんが私の手にある書類に気付き、動きを止めてじっと凝視する。
分厚いサングラスのせいで、北虹さんの表情が読めず、私は立ち去ることも言葉を発することもできず、戸惑う。
「──誰か、転属願いを出す死神がいるのか?」
「はい、おります。……ここに」
「何? まさか佐倉が」
「私は戦闘部隊に転属願を出すつもりです」

北虹さんがかすかに剣呑な空気を帯びる。

しかし、あっさりと剣呑な空気を分厚いサングラスで隠し、軽く苦笑いしながら、子供を諭すような口調で私に語りかける。
「佐倉、この間言ったはずだ。補助部隊の死神が幹部になった前例はほぼないと」
「ええ、覚えています。ですが北虹さんはこうもおっしゃったはずです。『覚悟があるなら挑戦してみろ』と。補助部隊の死神で幹部になれないのなら、戦闘部隊に異動して経験を積めばよいと受け取りました」

真正面から北虹さんの目を見据える。
身長差があるため、私が見上げる形になり少し苦しい体勢になる。

少しの沈黙の後、北虹さんはやれやれといった様子で、首を横に振った。
「まさか、君がここまで頑固だったとはな。俺は君の身を案じて、止めたつもりだったんだが」
「お期待に添えず、申し訳ありません。ですが、私は私なりに努力してみたいんです。どうすれば北虹さんの力になれるのか──」
「フッ、そうか……。せいぜい励みたまえ」

冷笑を浮かべた北虹さんは、捨て台詞を残して階段を上っていった。
この上のフロアは、たしか戦闘部隊のギルドがあったはずだ。
元々戦闘部隊に用があったのだろう。

「……佐倉」

北虹さんの背中を見送る私に、背後から声をかける人がいた。
「テンホー、まさか、聞いてたの?」
「ああ。悪い……」
「…………」
「…………」

沈黙が気まずい。
元々テンホーは無口な方だから、余計に気まずい。
だったらいっそ、開き直ってしまった方がいい。
「そういうわけだから、私、戦闘部隊に行くつもりなの」
「なるほどな。いきなり異動したいなんて言うから、どうしたのかと思った」

ふわあと大きなあくびを一つしてから、
「がんばれよ、佐倉」
「ありがとう、テンホー。他の人達には内緒でね」
「わかってる」

テンホーはひらひら手を振りながら、ギルドに戻る。
私も今度こそギルドから背を向け、歩き出す。

まだ私の戦いは、始まったばかりなのだ。