不動行光の手紙に関するあれやそれ

一日目

   執務室の隅でちょこんと座っていたこんのすけが、突然小刻みに身体を震わせ始めた。
 黒目が赤色に光っているのは、どこかと交信している証拠だ。
 一緒に仕事をしていた長谷部もそれに気付き、手を止める。
 しばらく見守っていると、こんのすけが背をのけぞらせ、コォーンと高く鳴いた。

「主様、昨日修行に旅立った不動行光よりお手紙が届いています」

 そう言ってこんのすけが、どこからともなく細長く畳まれた紙を取り出した。
 手紙を受け取るのに躊躇していた私を見て、長谷部が目を細める。
 どうぞと言うように、こんのすけごと手紙を私の方へそっと押しやった。
 恐る恐る手紙を開いて、読んだ。

 内容は極めて短いものだった。
 今まで修行に送り出した刀剣男士達は、皆持ち主である私への宛名を書いていたのに対し、彼の手紙はいきなり心情の吐露から始まった。

 薄々私は勘付いていた。彼がまだ織田信長を前の主と呼べるほど、過去として割り切れていないことに。
 なかなか本心を見せず、過去の話ばかりする不動君が、辛そうに見えて仕方がなかった。
 そんな彼が照れくさそうに、真剣な顔で私の部屋を訪れた時は驚いた。
 彼が過去と上手く和解できればと思い、修行に出る許可を与えた。

 旅先の慣れない場所でたった一人でいる心細い中、自分の一番弱い部分を手紙にしたためた時、彼はどんな顔をしていたのだろう。
 旅に出たいと申し出た時と同等の、もしかしたらそれ以上に怖かったかもしれない。

 平素より乱れた筆跡が、彼の恥じらいと恐れを物語っていた。
 手の中にある綺麗に揃えられた紙が、途端に重みを増した気がした。

 旅先で見つけた道端の岩か何かに座って、手紙をしたためる小さな背中がふと浮かんだ。
 彼はきっと帰ってきてくれる。
 この手紙を見て、私はそう思った。

「待てと言うなら、いつまでも。迎えに来てくれるのであれば」

 長谷部の皮肉っぽいため息が耳に届く。
 思ったより長い間、手紙を片手に考え込んでいたらしい。

「読む?」


 念のため長谷部に問いかける。
 長谷部は不動君をとりわけ気に掛けていた。同郷のよしみか、はたまた不動君の苦悩を、長谷部自身の胸中に見たのかもしれない。
 旅先での彼の無事な様子を知ったら安心するだろう。

「結構です」

 が、予想外にも長谷部は首を横に振る。
 私が差し出した手紙を押し戻してしまった。

「いいの?」
「ええ。あれのことです。どうせ素知らぬ顔でひょっこり戻ってくるでしょう。こちらがどれだけ心を砕いていようとお構いなしにね。心配するだけ無駄というものです」
「あら冷たい」
「さようですか」

 私がからかうと、長谷部が苦笑する。

「それに」

 長谷部が視界に入った手紙に目を細める。

「きっとあいつも主に宛てたものは、主にだけ読んで頂きたいと思っていることでしょう」
「そういうものかな」
「そういうものです」

 長谷部がきっぱりと答える。

「じゃあもし長谷部が修行に出た時も」
「もちろん、主だけが目を通してください。あなたのためにしたためた文なのですから」
「そう、わかった」
「お分かりいただけて大変嬉しいです。では仕事を続けましょうか」

 長谷部がこれほど落ち着いているのだから、きっと不動君の修行は無事成功に終わるだろう。
 私の元に彼はきっとかえってくる。
 その日を無事迎えられるためにできることは、私自身がしっかりしていることだ。

長谷部に言われた通り、残った書類に手を付け始めるのだった。


二日目



 初夏の本丸は、まるで夏のように暑い。
 太陽が高く上り、仕事に一区切りがついたころ、いったん休憩しましょうと言って長谷部が席を外した。
 時刻は昼食の近い頃合いだった。空腹を感じ始めた頃で、少し集中力を欠いてしまうタイミングを、長谷部はよくわかっている。

「本日は暑いですから、冷茶をご用意致します」

 そういって出ていった長谷部も、今日はカソックを脱いでいた。

 執務室は途端に静かになる。

 額ににじんだ汗を拭い、ため息を吐いた。
 まだ五月だというのにこの暑さ。

 昨年の夏の猛暑を思い出す。

 暑さでぼうっとしていたせいだろうか。こんのすけが来たことに気が付けなかったのは。
 私の油断した隙をつくように、どこからともなくこんのすけが現れた。

「主様、不動行光から手紙が届いております」
「ありがとう」

 こんのすけは手紙を渡すと、しゅるりとどこかへ消えてしまった。

 木の葉が風で揺れる音や遠くの声や足音が聞こえる。
 私しかいない執務室で、ふうと大きく息を吐いた。
 一通目の手紙を思い出し、手中に収まる紙が鉛のように重くなる。
 異を決して、開封した。

 筆跡は最初の手紙よりもやや落ち着いている。

 しかし誤字こそないものの、心の乱れが文字に現れていた。
 彼の修行の地は、まだ本能寺の変が起こる前の平和な尾張だったらしい。

「尾張……」

 彼の主だった信長の故郷だ。
 まだ彼と運命を共にする森蘭丸も信長も、健在だったという。

 この光景を守りたいからこそ光秀を討ちたい気持ちと、私を裏切ることになる気持ちで葛藤をしている。

 彼は過去を守るために主君の私を裏切り、光秀と同じ道を歩むか。

 それとも私の主命に従い、粛々と元の主を見殺しにするかで悩んでいる。
 自分の境遇をまるで悪夢だと嘆く不動君に、動揺が抑えきれない。
 私のせいで、不動行光が苦悩していることに、罪悪感で胸を押さえつけられる。
 せめて誰かが不動君に寄り添うことができれば、彼も冷静になれるかもしれないのに、それはできないもどかしさ。

 鬱々としかけた私の思考を、凛とした声が遮った。

「あいつからの手紙か? 大将」
「薬研君、いつの間に!」
 振り返ると端正な顔の少年が背後に立って、私の顔を覗き込んでいた。
 彼の名は薬研藤四郎。先日修行から帰ってきて、現在は第一線で戦い続けている。

「俺達極短刀が、大将の警護をしてるって話忘れたのか?」
「覚えているけど、いつからいたの?」
「最初からさ。大将が長谷部と仕事しているあたりからずっとな」
「ええ……、全然気付かなかった」

 修行を終えた刀剣男士達は、いつからか常に私の傍を警護するようになった。これも戦場の訓練の一環らしく、「敵に気配を気付かれないための訓練」らしい。二十四時間常に私の傍を極めた短刀が傍にいるらしいが、今のところほとんど彼らの気配に気付けたことがない。

「やっこさん元気そうだったか?」
 薬研の言うやっこさんとは、不動行光のことだろう。彼もまた同じ織田家にいたから、気にしているようだ。

「大分悩んでいるみたい」
「そりゃそうだろ。己の過去を直視しに行くんだ。悩まない方がおかしいさ
「うん……。ただ口調まで武士らしくなっていて、本当に刀だった頃の不動行光に戻ってしまっているみたい。不動君、大丈夫かな」
「大将はあいつをどうしたいんだ?」
「どうって」
「元々あいつが信長さんに対して並々ならねえ執着があったのを、知らないとは言わせないぞ。そんなに不安なら、そもそも修行に出さなきゃよかったんだ」
「正直言ってね、不動君に強くなってほしいとかそういう気持ちで送り出したわけじゃないの。もちろん、不動君が強くなってくれるのは大歓迎だよ」
「おいおい、そりゃ本末転倒だろ。んじゃ、大将の目的は何だ?」
 呆れた様子で薬研が首をかしげる。

「不動君、すごく辛そうだった。もしその辛さから解放されるならと思って送り出したのよ。酔いに任せて本心を隠してばかりだった不動君が、初めて頼ってくれたからこそ、過去を脱却するチャンスだと思った」
「……甘やかしすぎだ。いいか大将。俺達は戦をしてるんだ。感情に任せて何の算段もなく、貴重な修行の枠を潰すのはお粗末が過ぎる。修行道具は希少だぞ」
「うん、私情に任せちゃった私は、指揮官失格だと思う。ごめんなさい」

 その時、障子が開き、前田藤四郎と長谷部が部屋に入ってきた。
「薬研、その辺りで」
「前田か。今の大将の警護担当は俺だぜ」
「偶然です。長谷部さんの手伝いをしていたんですよ」
「主を詰問するのはやめろ」
「詰問じゃないよ。薬研君に叱られてたの」
「薬研、主が後先考えずに修行の許可を与えたと思うのは、早計じゃないか? 主にはきっとお考えがあるはずだ。ね?」
「はは、まあね。色々考えてはいるよ。でも不動君をどうにかしたいと思ったのが動機だから、反論はできないな」
「主……」

 長谷部が、物言いたげに私を見ている。
 せっかく私のフォローをしたのに、当の私自身に台無しにされたのだから、気分を害して当然である。

「ごめんね」
「いいえ……」

 謝ってみたものの、長谷部は眉間に皺を寄せてそっと視線を外した。やっぱり怒っているのだった。

「しかし大将は手紙を読むのに、随分時間をかけてじっくり読んでいたな。文なんて短くしか書けないのに」
「そこが主君の良いところですよ。僕たちを気に掛けてくださっている証左です」
「そりゃそうか。お前が修行に出た時は『前田君が路頭に迷った』ってそこの廊下をおろおろ何往復もしてたな」

 薬研が障子の先にある廊下を指さす。
 この本丸で初めて修行に送り出したのが、前田藤四郎だった。
 初めての修行で初めてもらった手紙に、「久しぶりに来た京で迷った。夜になって暗くなってきた」という部分で途切れた手紙を見た時は、本当にどうしようかと思ったものだ。
 私の狼狽ぶりがひどすぎて、近侍の長谷部はじめ古参の面子に散々迷惑と心配をかけた。
 前田は幼い見目をしてこそいるが、近侍も立派に務めるしっかりした性質だから、すぐに前の主に拾われて己の新境地を開眼し、無事戻ってきている。


「そんなことも、あったね」
「ろ、路頭に迷ってなどいません! その後きちんと前の主の元でお世話になりました!」

 前田をからかいながら、薬研が私を振り向く。

「俺の時はどうだったんだ?」
「薬研君は早い段階で居候先を見つけていて、安心できたよ。ただ本能寺の変の直前だったみたいだったから、大丈夫かなと思った」
「心配してたのか?」
「それはしてたよ。でも色々あっても決意も新たに戻るって言ってくれたのにぐっときた」
「おっ、そりゃ嬉しいねえ」

 薬研が自慢そうに胸を張って、大げさに喜ぶ。
 昔話をしている内に、やっと動揺が収まってきた。

 薬研藤四郎。前田藤四郎。
 苦い過去を乗り越え、今私の元にいてくれる。
 そんな彼らが大丈夫と言うのだから、きっと不動は戻ってきてくれる。
そう思えた。



三日目




 不動行光が修行に旅立ってから、三日。

「主様、不動行光から手紙が届いています」

 そう言ってこんのすけが置いていった手紙。
 不動行光から私に宛てた、最後の手紙だった。

 昨日は私を裏切るか否かで揺れていた彼が、どんな結論を出したか私は主として知る必要があった。

 そこには予想外の内容が書かれていた。



 夜。
 大広間で夕餉を取っていた。
 上座の私は、仏頂面で焼き魚をつついていた。

「…………」
「だから言ったでしょう。あれもひ弱な刀ではありませんから、どうせ素知らぬ顔でひょっこり戻ってくると」

 隣席の長谷部が若干呆れた表情で私を諭す。
 長谷部は流れるような手つきで、綺麗に魚から骨を取り除き身を食べている。
 正座する背筋はいつも通り真っ直ぐで、嫌味なほど行儀がいい。

 確かに長谷部は言っていた。『どうせ素知らぬ顔でひょっこり戻ってくる』と。
 内心長谷部は手紙を読んでいないから、そんな気楽なことが言えるのだと思っていた。

 けれど、彼の手紙を読んでぐうの音も出なかった。
 彼の前の主と出会い、諭されてしまったこと。
 居場所や主を失う恐怖は残っているけど、私を守るために強くなると。

 まさに長谷部の言った通りになったと。
 けれど少しは心配したって罰は当たらないじゃないか。

 そう思いながら、白米を咀嚼し味噌汁を流し込む長谷部を見る。
 私の視線に気付いた長谷部が苦笑した。

「俺を睨まないでください」


「違う」
 私は不動が戻ってこないほどひ弱だと思っていたわけではない。
 そして今、長谷部が思っているのと別の理由で、ふくれっ面のまま夕餉の席についている。

「違う、とは」
「そうじゃなくて」
 とはいえ、長谷部に私の内心などわかるはずもなく、やや困惑している。私が何も言わないのだから当然だ。

「はあ、では何か問題でも?」
「信長公が……、ああ、もう嫉妬しそう」

 そこまで言うと、私の真意は長谷部に気付かれてしまったようだ。
 長谷部は苦笑を深くする。

「そのご様子では、既に嫉妬しているのでは?」
「そうだね! 嫉妬してるよ!」

 やけくそ気味に本心を吐露する。今まで我慢していた本心が決壊するのは、すぐだった。

「何で! 私にはちっとも頼ってくれなかったのに、信長の言葉でころっと落ち着けるの! 悔しい」

 思わず箸を置いて、声を荒げそうになってしまう。そんな様子を本丸の面々が、おお、と言って当惑する。

「あなたたちの歴代の主は、皆すごい人ばかりだから、気後れしてる部分は会ったけど、こうも差を見せつけられちゃうと、さすがに焼いちゃうわ。本当に越えられない壁ね」

 ため息混じりに再び箸を取り、冷め始めてしまった塩サバをつつき、一口パクリと食べる。
 うん、おいしい。

 私の吐露に一番最初に声をかけたのは、驚いた顔の堀川だった。

「越えたかったんですか? 僕らの前の主を」

 そんなに真正面から指摘されては、さすがに決まりが悪い。

「審神者になりたての頃はちょっと思ってたけど、さすがに不動君の手紙を読んだら、そんな気は完全に失せましたー。平々凡々な私は、身分不相応な野望を捨てて、謙虚に生きることを心に誓いました」
「これは主さん拗ねちゃってるね。どうしよう? 兼さん」
「んなもん、ちょっと甘い言葉をかけてやりゃイチコロよ。うちの主はなかなかちょろいからな」
「そこ、聞こえてますよ」

 面白半分にくすくす笑っている兼定と堀川を、箸で指さす。
 そこに「行儀が悪い」と長谷部と歌仙に同時に指摘され、ますます身の置き所がなくなってしまう。


「くだらないな」

 そう言って立ち上がったのは、大倶利伽羅だった。
「前の主だとか、今の主だとか、そんなことはどうでもいい。あんたにはすべきことがあるだろう」

 私は恐る恐る彼に言う。金色の目が私を静かに見下ろしていた。

「歴史修正主義者の本拠地を見つけ、速やかに敵勢力を殲滅すること」

 鷹揚に大倶利伽羅が頷く。

「そうだ。あんたがすべきことは、俺を戦場に出すことだ」
「はい」
「そのためにどうすべきかをあんたは考えればいい。余計なことは考えるだけ無駄だ」
「はいっ」

 私の答えに満足してか、大倶利伽羅は満足そうにうなずくと、空いた皿を片付け始めた。

「あまり気を悪くしないでね」

 視線を映すと、困り顔の燭台切光忠がいた。

「今のは不器用な伽羅ちゃんなりの精一杯の慰めだから」
「勝手な憶測を広めるな」
「そうだな。伽羅坊は昔から不器用だったから、大目に見てやってくれ」

 鶴丸国永の声がかぶさる。

「おい」
「かばってくれる身内が多くて羨ましいものだな、大倶利伽羅」

 長谷部がからかうと、フンと鼻を鳴らして大倶利伽羅が広間から出て行ってしまった。


 広間に微妙な沈黙が下りた。
「えっと……俺達の経歴を尊重してくれるのは嬉しいけど、あんまり拘りすぎるとすごくやりづらいからさ、ま、ほどほどが一番だぜ」

 そんな沈黙の中、獅子王が言う。

「そうだよ、嫉妬を募らせると鬼になっちゃうからね」

 その横で髭切がにこにこと私をたしなめた。

「えー。じゃあ私その内頭から角が生えて鬼女になっちゃうの? 今より貴方達と少し近しい関係になれそう」
「付喪神も元を正せば妖怪だからね」

 意味深ににっかり青江が笑う。

「妖退治なら俺に任せておけ。もしも主が鬼になったら俺が斬ってやろう」

 冗談っぽく膝丸が言う
 髭切の横で話の成り行きを見守っていた膝丸が、どんと己の胸を叩いた。

「ありゃ、鬼退治は僕の領分だよ。僕に任せてくれれば間違いないよ」
「待て。何故主を斬るか否かの話題になっている」
 私を誰が斬るかという話題になりかけていたところを、慌てて長谷部が止める。

「主もあまり妄言を真に受けませんよう。ただの戯言です」

 長谷部が言う。

「…………」
「万が一主が嫉妬に狂って正気を失っても、俺が止めます」
「長谷部にそう言われると、ぞっとしちゃうね」
「俺に尻拭いをさせる事態にならぬよう、どうか乗り越えてください。あいつも明日には立派な姿で戻ってくることでしょう」
「うん……」

 と、言われたところで、そう簡単に割り切れるものではない。嫉妬とは意識すればするほど、深く強いものになる。
 気が重くなりながら味噌汁を流し込んでいると、周囲の刀剣男士達から見つめられているのに気が付いた。
 皆やけに機嫌がよさそうだ。

「何で皆にこにこしてるの?」
「気のせいだろ」

 兼定がうそぶく。その横顔は明らかににやついている。

「兼定さんが一番ご機嫌に見えるよ」
「若者の成長する様っつうのは、喜ばしいことだろ?」
「ねちねち嫉妬するののどこが成長しているって言えるの」
「拗ねない拗ねない。長谷部さんだってさっき言ってたでしょ? 嫉妬も乗り越えてほしいって。嫉妬心を乗り越えられたら、成長できた証ですよ」

 兼定の相棒、堀川がフォローする。

「難題だね」
「難題ではございません。主ならきっと妬心など退けられますよ」

 長谷部が涼しい顔で言う。彼の席を見ると、既に器は空になっていた。私の話が終わるまで、付き合ってくれるつもりのようだ。

「主は修行を我ら刀剣男士のみの物と思っているようだが、決してそんなことはないようだ」
「明日不動君を笑顔で出迎えられるよう頑張ります」

「頑張ってね」
「俺と兄者が抜刀しないことを祈っている」

 皆が口々に私を励ます。
 長谷部のようにもう食べ終わってしまった人もいるだろうに、席に残って話の成り行きを見守ってくれている。
 こうして夜は更け、『明日不動行光が本丸へ帰還する』という現実が近付きつつあった。


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2020年4月10日

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